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ウンランの仲間2種

つい先日、雪がとけハコベが咲いたと思っていたら、もう夏になってしまいました。

梅沢 俊さんの著書『北海道の草花』によると、北海道で見られるウンランの仲間は、ツタバウンラン、キバナウンラン、ウンラン、ホソバウンランの4種です。

そのうち、今わたしの散歩コースできれいな花を咲かせているのは、ツタバウンランとホソバウンランです。このホソバウンランは早咲きで丈が高いので、根付いた観賞用のものかもしれません。

 ツタバウンランは4月末から石垣や敷石などに茎を這わせて花をつけ、秋まで咲いています。花の径(花冠)は約8mmほどで、赤い矢印で示した尾っぽ(距)をつけています。

 ホソバウンランは今咲き始めたところです。大き目の花は3cmほどで、矢印で示した1cmほどの距を持っています。

 散歩コースで「◯◯バ」と名のつく花は、ホソバノツルリンドウ、クルマバソウ、クルマバツクバネソウ、ササバギンラン、ゼニバアオイなど。

 ツタバウンラン(蔦葉海蘭)の葉は左側、径は大きいもので3cmほど。

 ホソバウンラン(細葉海蘭)の葉は右側、長さ6cm幅3mmほどです。

写真右は本物の蔦の葉。蔦葉海蘭とはちょっと違うようですね。『北海道の草花』では「カエデの葉状」という言葉を使っていました。

 花が終わると、果実が実ります。左がツタバウンランの果実で径は約4mm。

 右はホソバウンランで長径が約8mm。これらは数年前に撮った写真です。

 成熟した果実には、種(種子)が入っています。左がツタバウンランで径約1mm、表面に皺があります。

 右のホソバウンランは翼を入れると径約2.5mmで、種子は約1.5mm。これらの種は小さいので、わたしのデジカメではもう限界。

 2種とも散歩コースで普通に見られる花ですが、原産地はヨーロッパ。大正初年に観賞用として輸入されたものが、逸出して野生化したと考えられています(『日本の帰化植物』)。

 原 松次さんの著書『札幌の植物』(1992年発行)によると、53の調査地点中、ツタバウンランは2地点、ホソバウンランは14地点で記録されています。おそらく今はもっと分布を広げていることでしょう。ちなみに帰化植物の代表格で嫌われもののセイタカアワダチソウは、当時の札幌では25地点で記録されています。なお、ウンランは在来種です。

 ウンランの仲間4種は、これまではゴマノハグサ科に分類されていましたが、最近の遺伝子研究をもとにした分類ではオオバコ科になるとのことです(『北海道の草花』)。なお、ツタバウンランは分類のレベルでいうと他の3種とは違う属。

 これからも帰化植物を中心に散歩コースの花を紹介していきたいと思っています。