散歩道でよく見かけるビロードモウズイカ。写真の個体の丈は50cmほどありますが、この植物としては小型のものです。
花の直径は径2cmほど。全開している花がなく、いつも不思議に思っていました。
調べてみると、夜明け前に開花して、午後にはしぼんでしまう1日花。
アサガオのようですね。右側の写真は朝6時に撮りました。
この花には、「天鵞絨毛蕊花」という漢字が当てられています。
天鵞絨(ビロード)とは、綿・絹・毛などを織って、表面にこまかい毛をたてた、なめらかでつやのある織物のこと。ポルトガル語でビロード、英語でベルベット、フランス語でベロア。それに雌蕊(おしべ)に毛があるという意味です。
近寄ってみると、緑色の雌蕊(めしべ)が1本と、雄蕊(おしべ)が5本あり、雄蕊の3本には毛があります。
葉の先端を拡大した写真が左。全体が数層の星型の毛でおおわれています。
さわった感じはとてもなめらか。雨が降っても右の写真の通り寄せつけません。
コンクリートの石垣の間にも根をおろすたくましい植物です。昨年の枯れた個体(中央黄色矢印)には、果実(蒴果、さくか)が残っていました。
その直径は約8mm。振ってみると小さな種が出てきました。
種を家に持ち帰って、机上で撮した写真です。凹凸のあるトウモロコシやチョコレート菓子のよう。美味しそうですね。
どのくらいの大きさだと思いますか?
0.5mmの界線が刻まれた盤に載せてみました。
長径は0.7から0.9mmです。
大きくなる植物ですが、種は小さいのですね。
コンパクトデジカメでの撮影は、これが限界。
Wikipediaは、「いくつかの研究によると、種子は10年以上、時として100年以上もの間、発芽能力を保ち続ける。また、この植物は極端に大量の種子を生産する。各植物は数百もの果実をつけ、それぞれは700個以上の種子を含み、総計では18万個から24万個に及ぶ」と記していました。
詳細は、https://ja.wikipedia.org/wiki/ビロードモウズイカ
Wikipediaは高さが2m以上にもなる毛深い二年生植物とも記しています。
散歩の途中で3mほどもある大きなものを見つけました。下部の葉は長さ50cmほど。
7月、ビロードモウズイカが黄色い花をつける季節になったと思ったら、暑さが続いたためでしょうか、花はもう終わりになってきました。
写真の個体は8月26日に撮影したもの。丈2mで先端部に少しの花を残すだけです。
道端では、来年以降の開花に向けた準備が進んでいました。
写真は根出葉が円盤状に並んだ植物体(ロゼットとといい、タンポポが有名ですね)で、大小色々の大きさのものが見られました。冬までに十分大きく成長すれば越冬できるが、径15cmに満たないロゼットは冬に枯死する可能性が高いとのことです。
ビロードモウズイカは、ヨーロッパおよび北アフリカとアジア原産の帰化植物です。攻撃的に分布を広げる種ではないとのことですが、大型植物につき景観を乱すことがあるように感じます。
10年ほど前ですが、南小樽駅の構内で、まるで林のように密生しているところを見たことがあります。
道端に咲くかれんな花というイメージからはほど遠い花ですが、一度見たら忘れない花です。