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ネギ属の花

いま、私の散歩コースの道端で、小さな白い花を咲かせている植物があります。

イボタノキの垣根の下にも、囲い塀の下にも、空き地にも、あちらこちらで見られます。

花の径は1.5cmほどで、雄しべは6本。

葉の幅は4mmほど。食用にもなるニラです。

漢字では「韮」と書きます。

試しに葉っぱを一本引き抜き、匂いを嗅いでみると特有の臭い。噛んでみるとネギの味。ニラの卵とじやお浸しが食べたくなりますね。

ニラと間違えて庭に生えたスイセンを食べたという食中毒事故が毎年あります。ニラの葉は特有の臭いがあり、スイセンの葉には臭いがありません。ニラを採る時は、必ず臭いを確認しましょう。

ところで、こちらは6月に撮ったアサツキです。アサツキは「浅葱」と書き、ニラと同じヒガンバナ科のネギ属の仲間。

その属名はどちらもAllium。Alliumとは「牧野 新日本植物図鑑」によると「ニンニクの古いラテン名」だそうです。

ニラもアサツキもネギの匂いは共通ですが、花の咲く時期も外観もかなり違います。

ニラは花が終わると径約5mmの果実ができ、緑色から茶褐色に変わります。

果実は3室に分かれていて、長径約4mmで表面にしわのある黒い種子が1室に1個入っていました。

ニラはラッキョウのような鱗茎がある多年草です。割と大きな種は生命力が強いのでしょうか、散歩コースのあちらこちらで増えている感じがします。

梅沢俊さんの図鑑『北海道の草花』には、「北海道では栽培されたものが逸出」との解説がありました。

北海道のニラの生産量は、2019年で約3,000トン。全国生産量の約5%を占め、都道府県別のランキングでは5位です。

道内一の生産量を誇る町は、北島三郎さんの出身地である道南の知内町。「北の華」というブランド名で知られています。

ニラは夏になると花茎が出て、そのまま花を咲かせると株が疲れるため、花茎は摘んでしまいます。

農家のハウス栽培では年に何度も収穫をするので、きれいな花ですがハウスいっぱいに「北の華」が咲くことはないようです。

ベニシジミ蝶はニラが好きなのでしょうか? 近づいても飛び立つことなく、長いこと花の蜜を吸っていました…。