散歩をしていて最も多く見かける花は、ヒメフウロとピレネーフウロ。桃色で小さな、かわいらしい花です。
下の写真がヒメフウロ。花の径は15mmほど。花は2個ずつつき、花弁(花びら)に濃紅色の2本の筋があります。古くなった葉や茎は、鮮やかな赤色になります。
塩を焼いたような匂いがするのでシオヤキソウとも呼ばれます。でも、わたしはそのような匂いは感じませんでした。
ピレネーフウロも花の径は15mmほど。濃紫色の筋が5本あります。花弁は5枚ですが、先端が浅く二つに裂けているため一見すると10枚に見えます。葉っぱは円い感じです。
園芸観賞用のものが逸出したとされていて、2001年に札幌で初めて報告されました。
ヒメフウロ(上段)とピレネーフウロ(下段)の果実です。
この2種のたねは裂片ごとはじけ飛んでしまうので、前回紹介したゲンノショウコのような「みこし」にはなりません。
たまに裂片が残っているヒメフウロがありました(左の写真)。
右の写真ははじけ飛んだ裂片です。左がヒメフウロで、右がピレネーフウロ。
写真ではお伝えできませんが、かなり弾力性がありますよ。
『牧野 新植物図鑑』(初版1961年)によると、ヒメフウロはヨーロッパに広く分布していますが、日本では滋賀県の伊吹山と霊仙山、徳島県の剣山などに分布するのみで、採取禁止対象種や絶滅危惧種に指定している県があります。
ところが、北海道や本州で観賞用のものが帰化しているのが確認されました。
ヒメフウロとピレネーフウロは、北海道のブルーリスト(北海道が独自に作成した外来種リスト)でカテゴリーB(定着している種)に指定されています。
『札幌の植物』(原 松次 1992)は、53の調査地点中、ゲンノショウコは40地点、イチゲフウロは20地点、ヒメフウロは2地点で生育していたと報告しています。なお、これはピレネーフウロが確認される前のデータです。
ところが、わたしの散歩コースに限るとヒメフウロとピレネーフウロが最も多く、在来種のゲンノショウコやイチゲフウロはあまり多くありません。特にヒメフウロは石垣の間にも根をおろしている強かな花です。
これまで紹介した4種のたねを紹介します。
左の写真で黒っぽいのがゲンノショウコ、次はヒメフウロ、ピレネーフウロです。
どれも薄い外皮を取り除いた状態で、長径は約2mm。
右の5個のたねはイチゲフウロ。こちらも約2mmの大きさでした。
10月末となりましたが、紹介したフウロソウ属の4種は、いまも道端で可憐な花を咲かせています。
三角山の紅葉が深まるころには、たねを飛ばし終えて、みんな冬の眠りにつくことでしょう。