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新琴似の丘珠烈々布地蔵尊

三和交通株式会社本社営業所の一角にたつ、お堂。

場所は札幌市北区新琴似4条16丁目、札幌国際情報高校の近くです。

黄色の矢印がお堂で、その右側の建物が三和交通。

裏の広い敷地には、たくさんのタクシーが待機していました。

この地蔵尊が祀られてるところは、東に藻岩山(赤色の矢印)、西に手稲山(青色の矢印)を望むことができる、たいへん見晴らしの良い場所です。

なお、「烈々布」は「れつれっぷ」と読みます。大正5年(1916年)に国土地理院が作成した地図では、烈々布とは丘珠、札幌、篠路の各村にまたがる広い地域だったそうです(広報さっぽろ北区版、1979年2月号)。

このお地蔵さんは、

明治26年に地域の守護地蔵尊として北41条東20丁目付近に建立され、

昭和16年に北42条東17丁目へ移設されましたが、

平成18年に現在地へ遷座されました。

 

市の広報誌『東区今昔』は、このお地蔵さんを「烈々布地蔵尊」と称し、「今は交通安全祈願に一役」と記しています。

 

 

 

尊像は高さ50cmほど。頭部が落ちたのでしょう。セメントがささえている首は太く、合掌する手にもセメントがのっていました。でもお顔は明治中期の建立とは思われないほど損傷が少なく、優しさが感じられる彫りです。

三和交通は、毎年9月の秋の交通安全週間に合わせて、監督官庁の参列のもと「交通安全祈願祭」を執り行っているそうです。お堂の梁にあった御札が、それを物語っていました。

 

なお、覚王山 立江寺(高野山真言宗)は石狩市花畔にある地蔵大菩薩を本尊とするお寺で、北海道三十三観音の第十番札所でもあります。

 

明治時代に地域の守護地蔵尊として建立された尊像ですが、今は名実ともに「交通安全」を見守っているお地蔵さんです。

 

『札幌の碑』(1988年、北海道新聞社)は、上述してきたお地蔵さんを「烈々布地蔵尊」、百合ヶ丘公園にまつられているお地蔵さんを「烈々布地蔵菩薩」と記しています。

 

ここでは混同を避けるため、はじめの建立地を冠して「丘珠烈々布地蔵尊」と「篠路烈々布地蔵菩薩」と呼び分けることにしました。「篠路烈々布地蔵菩薩」は後日紹介します。

 

これらのお地蔵さんについては、札幌市北区にお住まいのKhさんから貴重な調査資料などをご教示いただきました。心からお礼を申し上げます。