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常不軽寺のお地蔵さん

札幌市中央区旭ケ丘の観音寺に向かう途中、住宅街にたつ大きな石碑と二つの仏像を目にしました。

札幌市中央区旭ケ丘1丁目4で、後は円山です。

左の仏像は聖観音菩薩、右は地蔵菩薩。赤色の矢印を見ると…。

個人住宅のように見えますが、日蓮宗の「無量寿山 常不軽寺」(じょうふきょうじ)の札がかかっていました。

山崎長吉さん(『さっぽろ歴史散歩 山の辺の道ー定山渓紀行』北海道出版企画センター)によると、石碑は大東亜戦争の戦没者の霊を慰めるためにたてられたもの。

 

碑面には金色の菊花紋の下に「大東亜戦争」、その下に「アッツ島玉砕将兵 戦死将兵戦没者 出征軍馬軍犬 ビルマ独立義勇軍」とあり、最下位は「諸霊位追善菩提」と刻まれています。

碑の背面の刻みは、

「衆生見劫盡 大火所焼時 我此土安穏 天人常住満 季一郎」で、1973年の建立。

季一郎とは、この常不軽寺の建立を発願した北部軍最後の司令官、樋口季一郎です。

 

その前の20文字は、妙法蓮華経の如来寿量品偈にある言葉。

「衆生がこの世の終末を迎え大火に世界が焼かれると見える時にも、私のこの国土は安穏であって天の神々や人々が常に満ちあふれている」という意味だそうです。(「歴史のあしあと 札幌の碑」 https://rekishinoashiato-west.amebaownd.com/posts/7703938/

お地蔵さんは、半眼でたいへんふくよかなお顔の青銅像。

山崎長吉さんは前出本の資料のページに、この聖観音菩薩と地蔵菩薩は大仏師快慶の作と記していました。

その原型はどこのお寺に安置されている仏像なのか、いまだに探し当てることができないままです。