札幌市東区本町にある宝住山法国寺。
明治15年(一八八二)に創設され、同20年に寺号公称を受けた単立(浄土真宗東本願寺派)のお寺です。
本堂を覆うように影を落としている大木がありました。
鐘堂の後方に見えるイチョウの大木で、札幌市の保存樹に指定されています。
「この地蔵尊の由来について
今は昔、明治末から大正にかけて、札幌村大字苗穂村北栄部落(現在の伏古十一条二丁目、三丁目一帯)の付近は伏古川の支流の小川が流れ川邊にはタモの木が密生して寂しい場所でもあり、村人がこの付近を通るたびに心淋しい思いをしていた。又、馬橇道が吹雪に見まわれたとき何人かの村人が歩くが歩くがもとの所に戻り同じ道に出てしまう。誰言うともなくお化けが出たとか狐さまに化かされたとかの噂が広がった。
こんな時、土地の有志が相計り地蔵尊を建てようと議が起こり、浄財を出し合い豊平の山崎石工に依頼をして北栄部落の丁字路の一角に安置した。その時法国寺住職に入魂勤行を頂き、それ以後は道に迷う事も無く村人は安寧な生活を営む事が出来る様になり毎年七月には祭事法要を縁深い法国寺様に勤行をお願い営んできた。
又、当日は賑やかな芝居など余興が行われ、村人の娯楽の機会でもあった。
地蔵尊を、じいっと見つめると、なんと安らかな、穏やかな顔のお地蔵さんだろうと言われながらの八十有余年とその歴史には尊いもの有り、その間地域や生活環境の変化に伴い、入魂時からの縁と法国寺様の深いご理解により此の地に遷座し安寧の地を見つける事が出来た。
平成十五年八月二十一日」
浄土真宗のお寺で阿弥陀仏以外の仏さまを積極的に祀ることは、ふつうはないのですが、上記のような縁があったのですね。
お堂の左手にたつ紀念碑の台座に、「大正十年十月十八日 地蔵尊建立」と刻まれていました。
説明板が語っているように、お地蔵さんは「安らかな、穏やかな顔」。今年は103歳を迎えます。
このお地蔵さん、いまの人々の暮らしをどのように思っているのでしょうか。